出雲

出雲学への軌跡(藤岡大拙著)

神話や出雲の歴史についての「語り部」的存在と言える藤岡大拙氏が、出雲の成り立ちや歴史についての論考や著述をまとめた本です。一つの集大成として発行された本のようです。高校教師から転じて島根県立図書館司書から館長まで務めた藤岡氏は、40年以上…

出雲のことば 早わかり辞典(牧野辰雄編)

著者は平田で長年お医者さんを務めた方。出雲弁のメッカに育ったが、孫がテレビの影響からか、いわゆる標準語を話すようになり、自分の言葉が通じなくなっていることに愕然とし、文化財ともいえる出雲弁を残さねばならぬと、固い決意のもとに編さんされたそ…

新・古代出雲史(関和彦著、写真・久田博幸)

古代出雲について、出雲国風土記からアプローチして、新しい古代出雲像をあぶりだそうという試みの書です。また、写真がyくて、出雲大社など和夫億の神社や斐伊川などの風景をきりとっています。(2001年、藤原書店)

「出雲」からたどる古代日本(瀧音能之著)

出雲神話は、古事記や日本書紀にものすごく多く登場します。それは、今の天皇を中心とする大和国が成立する前の出来事を神話化したのだろうと言われています。だから、出雲の国は、すごく重要な役割を果たしていたのだろうけれど、文字通り雲をつかむような…

出雲神話の誕生(鳥越憲三郎著)

出雲の研究は、進んでいるようで進んでいない、分かっているようで分かっていない、そして、なんかねじ曲げられているように感じる人が多いようです。この本も、出雲神話の誕生の経緯に着目し、それが、大和朝廷に対する出雲の国の人々がどのように扱われた…

<出雲>という思想(原武史著)

スサノオやオオクニヌシを祭神としてきた出雲。古代の物語として語られてきた出雲だが、実は明治時代にもう一度、すごい脚光を浴びた、というか、活躍した時期があるそうです。明治政府が、アマテラスを中心とした伊勢を重視したのに対して、千家尊福を中心…

図録「古代出雲文化展」(島根県教育委員会、朝日新聞社編)

古代出雲の存在は、それまで知る人ぞ知る存在で、考古学に興味のある人の中での話でした。それが、荒神谷遺跡の銅剣の出土、加茂岩倉遺跡の銅鐸の出土、そして、出雲大社境内遺跡の巨大な柱が出土したとき、「いずもって、なんだかすごいな」という雰囲気が…

出雲大社(千家尊統著)

出雲大社といえば、伊勢神宮と双璧をなす神社と言えましょう。このたびの平成の大遷宮で、遷宮に必要な寄付金を集める奉賛会の会長をトヨタ自動車会長だった、奥田さんが引き受けたことをみても、もう、これは日本を代表する神社といってよいでしょう。出雲…

一畑電車がゆく(根宜康広著)

一畑電車が「軽便鉄道」として始まってから100年が過ぎました。考えてみれば、すごい歴史ですよね。100年続く事業というのは、そうそうありません。著者の根宜さんは、大田市在住で、昭和60年ごろから写真を撮り始めたのことです。デハ1形、デハニ…

伊勢神宮と出雲大社(瀧音能之著)

日本古代史、特に風土記を基本にした地域研究を得意とする研究者で、出雲風土記にもお詳しい方ですね!最近の出雲の古代史では、この方をおいては語れませんね。出雲大社と伊勢神宮の関係や、社殿の造り、神話かかわりなどを両者を比較しながら紐解いていき…

マンガで親しむ出雲神話1〜4(酒井董美構成、小室孝太郎作画)

昭和60年にシリーズが刊行されましたが、新聞社の何らかの事情で、3巻目以降があまり流通せずに、まぼろしの三巻と言われていましたが、満を持してあらたに四巻シリーズで発売された、出雲神話の入門編です。ご存知の通り、出雲神話の特にスサノオの登場…

日本の神話を考える(上田正昭著)

ことし3月になくなられました、上田正昭さん。ご冥福をお祈りします。上田さんは島根県の歴史について、深い洞察と研究の足跡を残されました。島根県民の一人として、心から感謝申し上げます。上田さんの著作は数々ありますが、この本は、日本の中で、出雲…

戦国はるかなれど(上下巻、中村彰彦著)

堀尾吉晴は、初代の松江城主ですね。徳川に使えて、しんがりをいつも務めたり、敵との和睦の席にかり出されたり。本当の仕事師ということを描いた力作です!広瀬の月山富田城から松江市まで城の部材を運びました。国宝の松江城もこの人のおかげです。(光文…

お神楽〜日本列島の闇夜を揺るがす(三上敏視、原章構成)

日本全国の神楽を特集した別冊太陽ですが、宮崎の高千穂、愛知の奥三河など有名どころにまじって、やはり、島根がたくさん載っていますね。佐陀神能(松江市鹿島町)、大元神楽(江津市桜江町など)、隠岐島前神楽(西ノ島町など)、12の神楽のうち3つが…

出雲の御本陣(藤間亨著)

御本陣というのは、殿様が旅行するときに泊まったり、休憩したりする、由緒ある家であろうかと思います。そうした家は、地域の庄屋さんもやっていたような家で、また、そういう経済力もなければ、殿様を泊めるようなこともできなかったわけでして、格式ある…

古事記を旅する(三浦佑之著)

古事記は、出雲を語る上で、避けては通れない道ですが、これを通読するのは、なかなか大変です。先日紹介した「レッツ!古事記」などから入り、周辺の読み物を読んでいくと、興味がわいてきて、古事記に向かう気持ちが強くなってくるようだったら、古事記の…

現代思想2013年12月臨時増刊号 特集「出雲」

2013年は出雲大社の遷宮の年で、出雲の神話や文化が再評価された年でした。さまざまなガイド本なども数多く出ましたが、現代思想の特集は本当にふかくて、現代の歴史研究者や思想家、ライターたちが、多岐にわたるテーマについての文章を寄せていて、読…

山陰〜歴史と文学の旅(宮崎修二朗著)

大阪に本社を持つ出版社の保育社がつくった、モノクロが多い「カラーブックス」シリーズで、山陰を取り上げた本がありまして、その名も「山陰」です。 山陰といっても、但馬地域も含めて、あります。もちろん「城の崎にて」の城崎温泉などが有名ですね。そこ…

出雲の山々とその周辺の山(島根県勤労者山岳連盟著)

湖鹿堂は鹿でありながら、山登りはしません。祖父から「決して登山はしてはいけない」と言われていますので。 それでも島根の山々には興味がありますね。中国山地で育った私には、山は登山の対象と言うよりも生活の場であり、山の恵みをいただく場所でありま…

中国山地(上下、中国新聞社著)

この「中国山地」は、過疎化が急激に進み、くらしや文化が急速に失われつつある1960年代に、中山間地域のくらしを克明に記録した伝説的なルポとして有名です。今でも中山間地域を研究する人のバイブル的な存在で、古書価もかなり高めです。これは二度ほ…

石神さんを訪ねて(山陰中央新報社)

山陰中央新報で連載された企画を一冊の本にまとめたものです。出雲地方にある50カ所の「石神さん」を紹介しています。 石神さんは、大きな岩が地域の人々の依り代として信仰されてきたものです。その信仰形態はさまざまで、スサノオノミコトやオオクニヌシ…

ジャパングラフ 島根

この本をみたとき、ああ、やられたな、と思ったものです。「くらしの中にある47の日本」。キャッチコピーもいい。そのなかで、5番目に島根を選ぶセンスがまたいい。ちなみに、1〜4は、滋賀県、岩手県、愛媛県、群馬県。うん、いい。 登場人物が、また、…

街道をゆく 7 甲賀と伊賀のみち、砂鉄のみちほか(司馬遼太郎著)

大作家・司馬遼太郎さんの紀行文の集大成であるところの「街道をゆく」シリーズは、旅に行くときにその土地のことを知るために、読んでから行くと、その土地の歴史、風土、文化、人々の性向などが分かります。まっさらな状態で旅に行くのも素敵ですが、司馬…

島根の地名辞典―あなたのまちの地名考(白石 昭臣著)

「六十の逆落とし」 津和野町直地の東端に、青野山麓に連なる奥山にある地名。周辺に人家はなく、昔、六十歳になったら老人を捨てたところと伝え、地名はこれに由来すると言われている。 このような話は、日本中いくらでもあるのでしょうが、すごく具体的で…