石見

石見の民謡(西岡光夫、酒井董美著)

石見の民謡とは、山がちで厳しい生活を強いられる地域の労働歌だ。田植え、木挽き、炭焼き、たたらなど、仕事のときに、口ずさみ、つらい労働を乗り切ろうという庶民の知恵だ。ときにもの悲しく、一方で、笑い飛ばそうという痛快さも併せ持つ。麦つき、臼ひ…

観て歩き 石州の文化財(小寺雅夫著)

石見の文化財を丁寧に取材した、すばらしいアーカイブです。著者は、元国鉄マンで、旅の本や小説などを書かれている、浜田在住の方だそうです。石見は、[石を見る」というくらいですから、石ばっかり。神社の元宮も岩なら、石垣の棚田もあります。石だらけ、…

水底の歌(梅原猛著)

柿本人麻呂は万葉集の時代を代表する歌人で、中央から石見に派遣された官吏で、石見の国で亡くなったとされています。「石見相聞歌」という悲恋の歌を残すなど、万葉歌人として活躍しながら、なぜ、石見の国に使わされたのか。柿本人麻呂の生涯をたどりなが…

江の川─いのちと愛と(村尾靖子著)

江津市在住の作家、村尾靖子さんの江の川を舞台にした児童文学です。江の川を舞台にしているので、水害が襲います。水害の後、子どもたちが、3世代が交流したり、石見神楽など伝統芸能に触れたり、ほのぼのと展開するのですが、主人公の女の子の父親であり…

親子で読んでほしい「妙好人有福の善太郎」

浄土真宗の信仰の篤い人を「妙好人」と呼びます。これは、邑南町市木にある浄泉寺の偉い住職が再編集した「妙好人伝」という上下巻の本に多くの妙好人が紹介されています。この本によると、山陰の妙好人は、水上勉の「才市」で有名な温泉津の浅原才市、因幡…

お神楽〜日本列島の闇夜を揺るがす(三上敏視、原章構成)

日本全国の神楽を特集した別冊太陽ですが、宮崎の高千穂、愛知の奥三河など有名どころにまじって、やはり、島根がたくさん載っていますね。佐陀神能(松江市鹿島町)、大元神楽(江津市桜江町など)、隠岐島前神楽(西ノ島町など)、12の神楽のうち3つが…

石見観光事典(石見観光事典刊行会著)

惹句がいきなり、説明文ですね。全部の市町村を書かないと行けないのは、たぶん、市町村合併をした後で、市町村名を覚えてもらおうという、石見全体の観光協会あたりのしごとかと思います。「澄みわたる空 青い海 緑の山 大田 美郷 川本 邑南 江津 浜田 益田…

山陰〜歴史と文学の旅(宮崎修二朗著)

大阪に本社を持つ出版社の保育社がつくった、モノクロが多い「カラーブックス」シリーズで、山陰を取り上げた本がありまして、その名も「山陰」です。 山陰といっても、但馬地域も含めて、あります。もちろん「城の崎にて」の城崎温泉などが有名ですね。そこ…

中国山地(上下、中国新聞社著)

この「中国山地」は、過疎化が急激に進み、くらしや文化が急速に失われつつある1960年代に、中山間地域のくらしを克明に記録した伝説的なルポとして有名です。今でも中山間地域を研究する人のバイブル的な存在で、古書価もかなり高めです。これは二度ほ…

ジャパングラフ 島根

この本をみたとき、ああ、やられたな、と思ったものです。「くらしの中にある47の日本」。キャッチコピーもいい。そのなかで、5番目に島根を選ぶセンスがまたいい。ちなみに、1〜4は、滋賀県、岩手県、愛媛県、群馬県。うん、いい。 登場人物が、また、…

石見の文学(山崎克彦著)

数々の石見の文芸活動について著作を持つ山崎克彦氏が、石見出身の文学者について、エッセイ風にまとめた本です。冊子のような体裁ですが、中身は濃いです。 まず、石見の三大文学者として、「森鷗外、島村抱月、中村吉蔵」の3人を挙げて、この3人が交流が…

島根の地名辞典―あなたのまちの地名考(白石 昭臣著)

「六十の逆落とし」 津和野町直地の東端に、青野山麓に連なる奥山にある地名。周辺に人家はなく、昔、六十歳になったら老人を捨てたところと伝え、地名はこれに由来すると言われている。 このような話は、日本中いくらでもあるのでしょうが、すごく具体的で…