僕の見た「大日本帝国」〜教わらなかった歴史と出会う旅(西牟田靖著)


戦前の国土は異様に広かった。このことを今思うと、それは、あまりにも日本の、あるいは、日本人の身の丈を超えた大きさに見える。ただ、当時は大日本帝国はそんなことをおもってはいなくて、日本の優れた文化を押しつけることが、被支配石の幸せだと思っていたのかもしれない。

 この本は、辺境の地を訪れることで有名なライターの著者が、かつて大日本帝国に組み入れた、樺太朝鮮半島、台湾などの国境地域を見に行く旅の記録。ただ、これが簡単にはいかない。日本側から行くと国がそれを許さない。一方で、反対側からいくと結構簡単に行けたりする。国境とは何か、国家とは何か、辺境からみえるものがある。
 
 もちろん、島根本に入れたのは、竹島ツアーがあるからです。ただ、国境というのは当然のことながら、「向こう側」があり、それが島の場合、ぐるりと取り巻く地域があり、そこに住んだり、魚を捕ったりする人たちがいるのであります。そのことをつねに考えていきたいと思うこのごろです。

 (情報センター出版局、2005年)