島根のむかしばなし(島根県小・中学校国語教育研究会編)


島根県の国語の先生たちでつくる研究会が、郷土の昔話を子どもたちに伝えようということで、副読本としてつくったのでしょうね。いまではおじいちゃんやおばあちゃんから、いろりばたや掘りごたつで聞かされたということもなくなり、伝えることが難しくなった昔話を、伝承したいという思いもあったのかもしれません。

「しあわせ話」は、善行を行うことで幸せが得られる話し、「怖い話」はよくないことをすると報いを受けることなど、人として成長していく過程で正しい行いを自然と身に着けることが昔話には詰まっています。こういう語りが途絶えたことも、日本の社会の大きな変化の要因なのかなとも思います。

お話しは採取された場所の方言をたっぷり使ってあって、島根が、出雲、石見、隠岐の三つの地域からできていることをあらためて感じたのでした。

(日本標準、1976年)