さまよえる魂のうた 小泉八雲コレクション(池田雅之編訳)


小泉八雲は、霊的なものにつよく惹かれていたと、八雲文学を読めば、なんとなく、感じるところです。特に出雲について書かれた文章を読むと現実に目の前にあるできごとに加えて、時間や空間を超えて、五感以上の何かで感じるものを捕らえようとしているように思います。

このアンソロジーも、幽霊がなぜ怖いと感じるのかとか、妖精の存在についての八雲の考えなどが、よく分かって面白いです。八雲の数多くの著作があり、そのすべてを一度に読むことはできませんが、こうしたアンソロジーの形で、八雲の思考の切り口を提示してもらえると、理解が進んで楽しいです。

ちくま文庫、2004年)