2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

伊勢神宮と出雲大社(瀧音能之著)

日本古代史、特に風土記を基本にした地域研究を得意とする研究者で、出雲風土記にもお詳しい方ですね!最近の出雲の古代史では、この方をおいては語れませんね。出雲大社と伊勢神宮の関係や、社殿の造り、神話かかわりなどを両者を比較しながら紐解いていき…

マンガで親しむ出雲神話1〜4(酒井董美構成、小室孝太郎作画)

昭和60年にシリーズが刊行されましたが、新聞社の何らかの事情で、3巻目以降があまり流通せずに、まぼろしの三巻と言われていましたが、満を持してあらたに四巻シリーズで発売された、出雲神話の入門編です。ご存知の通り、出雲神話の特にスサノオの登場…

島根の子ども文学館(岡正著)

[ 著者は雲南市木次町出身の学校の先生で、図書館教育に熱心に取り組まれた方です。 岡さんは、島根ゆかりの児童文学者の作品と横画をに加えて、その作家からのメッセージも添えられています。例えば、「めっきらもっきらどおんどん」の長谷川摂さんは平田の…

美しい雲の国(松本侑子著)

出雲市出身の作家、松本侑子さんが描いた童話のような優しい物語です。出雲市出身の10歳の村上美雲ちゃんの体験する、田舎暮らしと、都会へのあこがれなど、島根県民なら、うんうんとうなずける、お話です。大人のための童話、ですかね〜 (集英社文庫、1…

高津川と錦川(澄川喜一著)

東京スカイツリーのデザイン監修者の澄川喜一さんは、島根県六日市町(現吉賀町)の出身。その澄川さんが、半生を振り返りながら、山陰中央新報に連載した「羅針盤」の記事をまとめた本として出版されました。県境を越えた岩国工業高校に学ぶときに、島根県…

大梶七兵衛と高瀬川(石塚尊俊著)

江戸時代初期の1687年に、出雲市の斐伊川から市街地に約11キロにわたる農業用水「高瀬川」が完成しました。その立役者が大梶七兵衛です。出雲市民なら、だれもが小学校のときに、郷土の偉人としておそわります。今市町の高瀬川近くと大社町の荒木に銅…

民俗学者小泉八雲(小泉凡著)

小泉八雲の曾孫にあたる、小泉凡さんの修士論文をもとにした本です。小泉八雲の民俗学者としての側面に光を当てて、その民俗学的手法は、ヨーロッパで生まれ、米国に渡り、そこで出合ったクレオール文化に触れたこと、そして、日本で欧米とは全く違った価値…

福祉に生きる55江角ヤス(山田幸子著)

出雲市斐川町久木に生まれ、長崎の純心高等女学校校長を務めた江角ヤス。長崎で原爆投下にあい、校舎の下敷きになってなお、生き抜き、被爆者の福祉事業に献身的に取り組みました。そのヤスの生涯をたどると、長崎の鐘の永井輶博士とも重なります。二人の存…

小泉八雲新考(丸山学著)

昭和11年に書かれた本が、講談社学術文庫で復刊された書です。最初の赴任地だった松江時代に比べて、少し触れられることの少ないという熊本時代を中心に、熊本出身の著者が描きました。松江だけでなく、熊本でも、しっかり小泉八雲です。(講談社学術文庫…

津和野(安野光雅著)

津和野生まれの画家、安野光雅さんが描いた古里の津和野を描いた作品集です。安野さんの絵は、いつ見ても、ほんわかしているのですが、津和野の絵は、少しモノトーンに思えます。明るいばかりの石見ではないです、ということを表現しているのかな。文章も相…

風の人という新しい選択(田中輝美、法政大学藤代裕之研究室著)

風の人というのは、地域に新しい思考や行動やアイデアを持ち込む人たちのことです。UIターンを語るとき、その土地に定住してなんぼという考え方が根強いけれど、考えてみれば、そんな人ばかりでは、関係性が固定化して、面白い地域も次第にかたまってしまう…

神話と祭りと芸能の山陰路(石塚尊俊著)

一昨年に95歳でなくなられた、石塚尊俊さんは、山陰民俗学会名誉会長を務められるなど、山陰の民俗学研究の第一人者として活躍されていました。この本は石塚さんが、いろいろな叢書類に書いていた原稿をまとめて、再編集したもの。山陰を東から西に旅をし…

L特急やくも殺人事件(西村京太郎著)

特急やくもが舞台なのですが、このに収録されている表題作は、岡山が主な舞台です。島根は舞台としては登場しませんが、出雲部在住の人で、やくもに乗ったことがないひとはほとんどいないと思うのです。振り子電車という、カーブが多い伯備線でも速く走るた…

わが人生一直線(吉岡隆徳著)

100メートルの世界タイ記録を記録したり、戦前のロサンゼルスオリンピックで入賞を果たすなど、暁の超特急を呼ばれた吉岡隆徳の自伝です。吉岡は出雲市湖陵町の生まれで、その後斐川の吉岡家に養子になりました。戦前の日本の短距離界が世界に互して戦っ…

後醍醐天皇の道(楪範之企画・編集)

後醍醐天皇は隠岐に流され、そのあと、隠岐を脱出するのですが、その天皇の通った道を示しながら、ゆかりの地を写真でたどる体裁になっています。よくもまあ、700年も前の人物が泊まったとか、見上げた、というような言い伝えが残るもんだなと不思議な思…

郷土石見(石見郷土研究会発行)

石見の魂です。年3回発行される、石見の魂です。ここには、石ばっかり見てきた石見人の魂が宿っています。石見人は、石見郷土研究会に入ろう!

さまよえる魂のうた 小泉八雲コレクション(池田雅之編訳)

小泉八雲は、霊的なものにつよく惹かれていたと、八雲文学を読めば、なんとなく、感じるところです。特に出雲について書かれた文章を読むと現実に目の前にあるできごとに加えて、時間や空間を超えて、五感以上の何かで感じるものを捕らえようとしているよう…

日本の神話を考える(上田正昭著)

ことし3月になくなられました、上田正昭さん。ご冥福をお祈りします。上田さんは島根県の歴史について、深い洞察と研究の足跡を残されました。島根県民の一人として、心から感謝申し上げます。上田さんの著作は数々ありますが、この本は、日本の中で、出雲…

永井輶 平和と祈り 愛に生きた医師(中井俊己著)

永井輶は、雲南市三刀屋町に生まれた医師。長崎で原爆症になりながらも、人々を救済し続けた、それはそれは、偉大な人です。永井輶の生涯を分かりやすく、子どもでも読めるようにふりがながついています。三刀屋の和菓子屋さん、しっぽも一役本舗天満屋さん…

写真は語る大社の百年(大社町教育委員会編)

大社という街は、出雲大社のお膝元なので、古くから参拝者が訪れ、観光がさかんでした。参拝客をもてなすには宿屋がいりますし、食べ物がいる。野菜や魚もいるので、農林水産業が盛ん。人が多いので家もいるから職人もいる。というわけで、この大社の百年と…

記憶の絵(森茉莉著)

鷗外の長女で、小説家の森茉莉のエッセイです。この親子ほど、才能にあふれた親子もいないのではないでしょうか? そんな親子ですが、森鷗外が、葬式まんじゅうをご飯に載せて、煎茶をかけてまんじゅう茶漬けにしていたなんていうエピソードが書かれていて、…

砂の器(松本清張著)

島根を舞台にした推理小説も、かなりありますが、これほど、鮮やかに出雲のことをトリックまで取り入れた作品は、空前絶後でしょう。方言や地名をうまくつかった手法は、さすが松本清張ですね。松本清張は古代出雲に関する研究や出版もありますし、出雲に対…

戦国はるかなれど(上下巻、中村彰彦著)

堀尾吉晴は、初代の松江城主ですね。徳川に使えて、しんがりをいつも務めたり、敵との和睦の席にかり出されたり。本当の仕事師ということを描いた力作です!広瀬の月山富田城から松江市まで城の部材を運びました。国宝の松江城もこの人のおかげです。(光文…

入門国境学(岩下明裕著)

「国境学」という学問が最近注目されています。国境をここまでが自分の領土と主張するだけでは、相手と衝突を繰り返すことになります。そうならないように国境をどういうふうにさだめていくのか。それはナショナリズムとの折り合いをどうつけるかという問題…

大社線80年の軌跡(大社線転換対策委員会編集)

大社線が廃止になったのが1990年ですから、もう26年も前のことですね。いま、あの大社線が残っていたら、すごく素敵な路線で、出雲大社の参拝風景も変わっていたんだろうなーと思うと、ものすごく残念です。時代の趨勢だから、車が増えたから、こうい…

小泉八雲の妻(長谷川洋二著)

小泉セツは、元松江藩の士族の娘。ただ、明治時代は士族は落ちぶれ、仕事もなかなかうまくいかず、没落する家が続出した。小泉家も厳しい経済事情だったようで、この本によると、「ガイジン」である八雲の世話をやく女中のような存在としてハーンのそばでは…

日本の民俗32島根(石塚尊俊著)

島根の民俗学と言えばこの人、石塚尊俊さんです。残念ながら、2014年になくなられたが、島根の民俗学を常にリードしてきた功績は多大だ。膨大な著述活動はすさまじい成果ですね。この本は、全国47都道府県の民俗について、その都道府県の民俗に詳しい…

お神楽〜日本列島の闇夜を揺るがす(三上敏視、原章構成)

日本全国の神楽を特集した別冊太陽ですが、宮崎の高千穂、愛知の奥三河など有名どころにまじって、やはり、島根がたくさん載っていますね。佐陀神能(松江市鹿島町)、大元神楽(江津市桜江町など)、隠岐島前神楽(西ノ島町など)、12の神楽のうち3つが…

出雲の御本陣(藤間亨著)

御本陣というのは、殿様が旅行するときに泊まったり、休憩したりする、由緒ある家であろうかと思います。そうした家は、地域の庄屋さんもやっていたような家で、また、そういう経済力もなければ、殿様を泊めるようなこともできなかったわけでして、格式ある…

旅情山陰(古川尚雄著)

昭和34年に島根大学の開学40周年を記念して、大学に「山陰文化研究所」が創立されました。島大の教授陣が地域社会や歴史、風土など、専門分野についてまとめたシリーズが、「山陰文化シリーズ」です。旅情山陰は、その第1弾。著者は佐賀県生まれ、山陽…