2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

島根半島散歩〜大社編〜(村上清子ら編)

島根半島散歩という山陰中央新報社の連載企画で、大社編は74回にわたってけいさいされ、その文章をまとめたものです。出雲大社や日御碕などの有名どころはもちろんですが、「神話の島・幕島」とか、出雲の江戸時代の俳壇をリードした日置風水とか、聞いた…

古代出雲を知る事典(瀧音能之著)

著者は古代出雲の研究では第一人者の1人でしょう。出雲大社や古代出雲についての論考がたくさんあります。古代出雲を勉強しようと思ったら、この人の本をたどっていくとよいでしょう。中でもこの本は、「事典」と銘打っているだけ合って、古代出雲の歴史、…

領土という病(岩下明裕編著)

「国境学」という学問を作り上げてきた北海道大学教授の著者が、領土問題をさまざまな角度で、対談やシンポジウムをまとめた本です。領土問題というと、「日本のものだ」というところで、思考停止してしまうことがありますが、両方の地域からみたり、国と国…

平成郷蔵普請帳(国井加代子ら著)

江津市桜江町の旧家の「中村家」に残っていた江戸時代の蔵「郷蔵」を、市民の力で修復しようというプロジェクトの記録集です。呼びかけに集まった市民や建築士たちが、昔ながら技術と道具、材料を使って、仕上げていきます。蔵なんて言うのは、現代ではなん…

御津浦媼聞書(乾隆明著)

松江の歴史に詳しい乾隆明氏のおばあさんである、フユさんのお話を聞き書きしてまとめた者です。漁村に伝わる行事の貴重な記録で、畑仕事や、漁業のための道具や使い方、俗信などを聞き取りしたものです。「若白髪は福がある」とか「三夫婦は同じ棟でねるな…

小林徳一郎翁伝(小林徳一郎翁顕彰会著)

小林徳一郎は、出雲大社の前の神門通りの途中にある大鳥居を寄贈した人であり、奥出雲町の稲田神社も再建しました。川本高校の前身の学校や、至る所に小林翁が寄贈したものがあるのです。小林徳一楼は、邑智郡高原村(現在の邑南町高見)に生まれました。父…

白い船(早坂 真紀著、山口 はるみ イラスト)

出雲市出身の錦織良成監督の映画作品「白い船」のノベライズ作品です。平田の塩津小学校を舞台にした、沖を通る船長と生徒たちの交流の物語は、錦織監督の精神の原点なのでしょうね。子どもたちは純朴で、信頼できる大人がいて、心の古里としての島根の良さ…

四隅突出型墳丘墓の謎に迫る(出雲市教育委員会編)

「ヨスミトッシュツガタフンキュウボ」呪文のようなことの言葉を、すんなり言える人はいずも通ですね。古代出雲の権力者が埋葬されているという西谷墳墓群の概要を紹介しながら、古代出雲の謎に迫ります。錚々たるメンツによる対談はスリリングで挑戦的です…

のんびり山陰線で行こう(野村正樹著)

著者は、推理小説作家であり、鉄道ファンでもある方です。この方が、山陰線を旅して、人生にほっと一息をつくという趣向です。旅をしながら、のんびりでもいいんじゃないのって、ことを山陰の鉄道旅で感じていきます。確かに、山陰の鉄道は、急ぎません。そ…

庭園日本一 足立美術館をつくった男

安来市の足立美術館といえば、横山大観など日本の近代画家のコレクションが有名ですが、最近はむしろ日本庭園の美しさによって、世界へ情報発信されていて、海外からも多くの観光客が訪れるようになっています。これが、たった一人の男が、木炭の運び屋さん…

聞き書島根の食事(日本の食生活全集32、編集委員会代表・島田成矩)

この本は、全国の農村、漁村、山村に残る、伝統の食をのこそうという狙いで全国の都道府県ごとにまとめられた、聞き書きの食事の本です。写真も結構古くて、昭和の時代までしっかり残っていた食文化は急速に失われています。そういう文化を一緒に味わえる本…

松江城と城下町(宍道正年著)

2015年に念願の国宝に指定された松江城です。その松江城の歴史や構造の面白さなどについて、子供でも分かるように書かれた本ですが、これが大人にもしっかりと面白く仕上がっている本です。マァちゃんとお父さんの会話で、お父さんが説明役。心温まる展…

国鉄の旅7中国四国編(林順信、小川金治著)

カラーブックスでおなじみの出版社の保育社が、全国の国鉄の路線を旅するシリーズを出していいます。廃止が検討されている三江線を含めて、中国地方の中央部を走るローカル線のルポとか、駅弁のカバーの写真グラフとか、鉄道唱歌とか、なにかとマニアックな…

旅の絵本(安野光雅著)

中部ヨーロッパを舞台にした絵本で、個人的には安野さんの代表作だと思っています!とにかく絵が美しい!ワクワクする!せりふがないのに、本当に旅をしている気分になります!(福音館書店、1977年)

松江市菓子業の軌跡(星野春雄著)

松江は茶人大名の松平治郷、不昧公によって、茶の湯の文化がずっと城下町の暮らしに親しまれ、なじんできました。お茶の文化に欠かせないのが、和菓子です。この本は、金沢、京都と並んで、日本の和菓子文化が根付いた町、松江の菓子業がどのように発展して…

すごい駅(横見浩彦、牛山隆信著)

全国のすごい駅について、JR全駅乗降という偉業を成し遂げた横見さんと、「秘境駅探検家」の牛山さんが、対談形式で紹介する本です。駅の分類がいろいろあるのですが、その駅を即座に「そうそうあれはね」と互いに言い合う状況は異常だとは思うのだけれど…

のんびり雲(のんびり雲編集部)

島根県立短期大学総合文化学科の学生たちが一年に一回、山陰両県を中心とした、話題を取り上げ、企画を練って、突撃取材したりして、とにかく、体当たりの姿勢が好感の持てる雑誌なのです。「のんびり雲」という緩いタイトルなのですが、意外と切り口は鋭か…

文豪「島村抱月」(隅田正三著)

浜田市金城町に在住し、民俗学や郷土史の研究を続けている著者が、郷土の誇る島村抱月の生涯、とくに、生まれてから古里を後にするまでの前半生を詳しく調べ、記しています。本当に頭が下がる仕事ぶりです。島村抱月は、浜田市金城町小国でたたら製鉄を営む…

石見文化小史(山崎克彦著)

石見の地方紙と言えば、石見タイムス。著者の山崎克彦氏は、略歴によると、神戸などで教諭をしたあと、戦後に浜田市で創刊された石見タイムスの記者を5年務め、その後、浜田高校の教諭になられたそうです。島村抱月の研究などでも知られ、数々の著書をもの…

憧憬 ラフカディオハーンの足跡を旅して(写真・古川誠、文・山根み佳)

小泉八雲が、松江にやってきた日から、旅立つまで、出雲の国のさまざまな場所を訪れて、文章を残しています。その場所を写真家の古川誠さんが訪ね歩き、撮影した写真を中心にした写真集です。八雲が初めて松江にやってきて、大橋川沿いの旅館に泊まって、初…

足立美術館(内山武夫、足立美術館学芸部共著)

保育社のカラーブックスシリーズ713に登場した、安来市の足立美術館のことだけを取り扱った本です。実業家の足立全康氏が、集めた横山大観のコレクション130点を中心に、橋本関雪、榊原紫峰ら近代日本画壇の中心的な人たちの作品が数多く収蔵、展示さ…

島根県歴史人物事典(山陰中央新報社編)

山陰中央新報社がまとめた歴史人物事典で、大国主神など神話にでてくる神さままで掲載されています!人物として数えていいのか分かりませんが、こんなところに徹底した仕事ぶりが伝わってきます。あと便利なのは、巻末の資料です。出雲、石見、隠岐の参加国…

島根百年(毎日新聞社著)

この本の巻末の広告のページをみると、「大阪百年」「滋賀百年」「奈良百年」という本も販売され、続刊「広島百年」と書いてあるので、これは毎日新聞社が全国の地方版で、大規模に同時並行的に連載を行った企画なのではないかと推察します。島根百年は昭和…

銀のまちをつくった人たちの話(NPO法人緑と水の連絡会議)

世界遺産に登録された石見銀山。その歴史的な価値について、学術的に調べたりしたことがすごいような記がしますが、本当にすごいのはその石見銀山のお膝元の町・大森の暮らしを守った人たちの存在だと思います。例えば中村ブレイスの中村社長、群言堂の松葉…

学歴社会のローカルトラック(吉川徹著)

人口が減る。日本全体で減少が始まったのは、戦時中を除き2005年あたりからですが、島根県では、戦後、90万人以上いましたが、今は70万人。少子化傾向もあるのですが、たぶん一番の理由は「卒業」。そう、高校を卒業した子どもたちが、大学進学や就…

松江食べ物語(荒木英之著)

1993年に271回にわたり、山陰中央新報に連載された企画「松江食べ物語」をまとめた本で、箱入りで「春夏」「秋冬」という2冊セットで3000円!いまも人気の本で、松江市内の古本屋では5000円で売っていたりします!人気の秘密は、いまは失わ…

しまね酒楽探訪(石原美和著)

島根県内にある、35カ所の蔵元をきき酒士の■を持つ著者が訪ね歩いてまとめた、こくが深いのに、舌触りはすっきりした、一冊です。日本酒がどうやってできるかというわかりやすい解説や、自分が飲んだ酒を記録していく「後酒飲帳」がついていて、これであな…

地域再生のフロンティア(小田切徳美、藤山浩著)

農村経済の研究で有名な明治大学の小田切徳美教授と、県中山間地域研究センターで過疎地の研究の第一人者である藤山浩さんを中心に、中国山地は真っ先に地域の疲弊が進んだ「フロンティア(先進地)」と位置づけ、さまざまな地域嗄声の取り組みを紹介してい…

輪土第2号

最近、地域や都道府県別に「暮らし」や「お店」などを紹介する雑誌というか、ムックというか、リトルプレスというか、そのような出版物がはやっていますね。この輪土は、都道府県よりもらに小さい地域を取り上げていて、第2巻に「石見」を取り上げています…

出雲国大社観光史(大社史話会著)

出雲大社の観光の歴史をまとめた本です。観光史というめずらしいジャンルですが、大社はまさに出雲大社の門前町として、観光を糧に生きてきた町だと言うことがよく分かります。例えば、富くじ。大社の門前で、江戸時代に富くじが行われていました。富くじを…