2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ノックス・マシン(法月綸太郎著)

松江市出身の推理小説作家のこのミステリーがすごいで、二度目の一位を獲得した記念すべき作品です。前回一位を撮った「生首に聞いてみろ」も奇想天外ですが、ノックス・マシンは余りにも奇想天外な物語のため、頭の悪い湖鹿堂にはどこか、よくわらかないと…

出雲学への軌跡(藤岡大拙著)

神話や出雲の歴史についての「語り部」的存在と言える藤岡大拙氏が、出雲の成り立ちや歴史についての論考や著述をまとめた本です。一つの集大成として発行された本のようです。高校教師から転じて島根県立図書館司書から館長まで務めた藤岡氏は、40年以上…

あしたのデザイン(森英恵著)

吉賀町(旧六日市町)出身の世界的なデザイナーの著者がのk素敵なエッセイ。「ちょっと先の、やがてみんながそこに来るものをつくって用意する」ですって。すごいなこの言葉。自らの洞察力とともに自らがその流れをつくるという自信がみなぎっています。そ…

巨食症の開けない夜明け(松本侑子著)

若いときは、1日何合もご飯を食べて、それでもおなかが減って、寝るまえにカップラーメンを食べても、胸焼けなんかしなかったのに。いまではもうあんまり食べられない。食べられることって素敵、って思うけど、巨食症という食べ続けるという行動もなんだか…

尼子一族と月山富田城(吉村雅雄著)

尼子は戦国武将としてはかなり早い、北条早雲とかと同じ時代に興っています。尼子は山陰の武将として、地元で人気があるばかりではなく、尼子家に使えた山中鹿之助とかの影響で、かなり、いい感じの戦国武将として人気もあります。毛利に滅ぼされたので、戦…

語り継ぐ為に(NHK松江放送局)

NHKが戦後40年に合わせて、視聴者から寄せられた戦争体験の手記73編をまとめた冊子です。非売品ですが、こういう話しは残したいということで、今井書店さんで印刷されています。戦争を知る世代が1人、また1人といなくなり、やがて日本は苦しかった時代…

北島国造家沿革要録(出雲教編)

南北朝時代に北島と千家に別れた、出雲国造家。もともとは、天穂日命(あめのほひのみこと、天照大神の次男)の直系子孫と言われています。それがなぜか時代と共に別れ、月替わりで出雲大社の宮司を務めていました。いまは宮司と言えば千家と思われています…

浜田の石ぶみ(山崎克彦著)

浜田市内に立っている石碑116基を訪ねて、写真と碑文を記録した冊子です。解説などはない、何の変哲もないような冊子ですが、こういう記録をしたいという衝動は押さえがたい人間の衝動かもしれませんね。そこに記録しておきべきことがあれば、何らかの形…

三江線写真集(山岡亮治ほか著)

廃止が検討されている三江線を応援しよう(たぶん、そう思う。そう信じてる)と、今井出版さんが企画された写真集。山陰鉄道シリーズ第3弾とあるのは、山陰駅たび、後藤車両所につづく第3弾ということらしいです。今井出版はいつから鉄道専業出版社になっ…

田畑修一郎全集(田畑修一郎著)

益田市出身で、代表作「鳥羽家の子供」で、芥川賞候補にもなった、戦前の作家です。第2巻には、以前紹介した「出雲・石見」という絶品のエッセイが掲載されています。全三巻で、長編、短編、随筆などが収録されています。広島のアカデミー書店で三巻セットで…

人麻呂の世界(矢富厳夫著)

柿本人麻呂の本は、謎の人物の生涯をさまざまな著者が研究しているので、もはやどれが本当か分からないんですが、この著者は、人麿が益田で生まれて、益田で亡くなったというセツも紹介されています。実際、研究はどこまで進んでいるのか、一度、聞いてみた…

加藤歓一郎の精粋(稲田誠二著)

加藤歓一郎という人の名前を初めて聞いたのはたしか、木次乳業の創始者の1人・佐藤忠吉翁のことを書いた「自主独立農民という生き方」という本に、忠吉翁が影響を受けた1人として描かれていたと思います。 明治38年5月10日生まれ。生まれ育った奥出雲の小中…

柿本人麻呂の石見(神英雄著)

万葉の歌人、柿本人麻呂が、どこで生まれて、どこで死んだのか。日本文学史上、この謎は延々と千年以上にわたって、研究されたり、言い伝えられたり、我田引水したり、創造したりと、その膨大な試論、私論が行き交っています。ただ、未だに確定的なセツはな…

問答無用〜夢声対談集

益田市出身で、活動写真の弁士などを務めていた徳川夢声が、週刊朝日に連載され、著名人との対談したのが「問答無用」で、この本は、その対談をまとめた本です。表紙にはないですけれど、「?」とあるので、「1」もあるのでしょう。高峰秀子とか、当時の有名…

津田海道物語(津田海道物語編纂委員会編)

松江市雑賀町の中の3区長内会が、自分たちの町の歴史をまとめた冊子を作りました。それが、この本なのですが、何という素敵な出来栄え、充実した内容、これは、松江の文化水準の高さと、センスの良さを示す恒例です。表紙は現代の雑賀町に、参勤交代の行列…

神々の国の旅案内(ラフカディオ・ハーン文、村松真吾訳編)

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、松江で過ごしたわずか一年あまりの間に、出雲のいろいろな所を旅しています。それは、やはり、すぐ松江を後にしてしまうのですが、すこし急いでいるようにも思います。八重垣神社や嵩山くらいなら分かりますが、隠岐に…

群言動の根のある暮らし(松場登美著)

バブルが崩壊して、地方の時代だなんて言われたけど、なかなか、地方でかっこいいというモデルがなかったころ。石見銀山が世界遺産になったりとかする出来事も加わって、そんなときに群言堂が、ぐんぐんと知名度を上げていって、田舎にある暮らしのかっこよ…

斐川の地名散歩(池田敏雄著)

阿宮(あぐ)、富村(とびむら)とか、普通では読めないような字が斐川の地名にはあって、それはもう出雲弁のネイティブさと合わせて、出雲の大元は斐川にあったのではないかと思うぐらい、出雲人出雲人しているのが斐川ですね。昔は、中洲が多かったとかで…

心の旅 出雲神仏霊場巡り(藤岡大拙著、槇原郁朗画)

出雲大社などの神社と、一畑薬師などのお寺が手を組んで、神仏霊場巡りという行事を始めたのが十数年前。いまでは毎年の世界平和祈願祭を行っておられます。神も仏もみな一緒に、信仰心を取り戻そうという取り組みでしょうかね。一畑薬師とかは、本当に大き…

島根のさくら(吉野蕃人著)

島根大は昔は農学校だったので、農学部はずっと、島根大学の花形だったのかなあと思います。本状に立派な農業を持っていて、そこにはたくさんの種類のサクラが咲いていて、毎年春になると解放されています。吉野さんという教授が、退官されるのを機に、農場…

松江歴史余話(乾隆明著)

著者は家業のお肉屋さんをしておられる傍らで、歴史にも造詣が深く、この本によると家業をきちんと黒字のまま精算されて、歴史研究に没頭されたそうです。今は、刊行が続いている松江市史編さんに携わっておられます。この松江歴史余話は、「松江藩の時代」…

島根の民謡 歌われる古き日本の暮らしと文化(酒井董美、藤井浩基著)

民話や童歌など、人の口つたいに伝わっていく口承文学の世界で、島根県ではこの人、酒井さん。山陰民俗学会会長などを務められる、立派な方です。島根に伝わる民謡、それも、子守歌や仕事の時に歌うものなど、70曲を楽譜付きで紹介し、CDもついています…

思い出のアルバム〜県議在職四十表彰を受けて(浅野俊雄著)

国内でも指折りの在職期間を誇る浅野俊雄県議が、在職40年のお祝いを受けたときに自らの政治家人生を振り返って制作された本です。こういう政治家の本というのは、どうかなあという部分はあろうかとは思いますが、この人は前回の県議選で80歳をこえて立…

美鋼変幻 たたら製鉄と日本人(黒滝哲哉著)

日本美術刀剣保存協会という組織があり、その略称で日刀保と言われるんですが、この組織が運営しているのが、奥出雲町の日刀保たたらです。著者は、日刀保のたたらを担当する職員で、たたらのことをよく知る人です。日本刀は昔は人を殺す道具であり、権力の…

益田の民話(益田の文化を育てる会編)

表紙は手前に高島を入れて、益田の山並みを入れたんでしょうか。温かいタッチの絵を使った装丁がすてきですね。島根大学昔話研究会の田中蛍一代表が採話した、益田の昔話を50話集めて、後世まで語り継ごうというプロジェクトによって発行されたようです。…

逆臣青木幹雄(松田賢弥著)

竹下登の秘書を務め、二人三脚であゆんできた青木幹雄氏は、6年前の参院選の前に病に倒れて、息子の一彦氏に譲りました。逆臣というタイトルは刺激的ですが、要するに、竹下さんの事務所を引き継いで、竹下のように振る舞ったという印象になっているところ…

竹下政権の崩壊(朝日新聞政治部)

島根県が生んだ2人目の総理大臣、竹下登。消費税の導入などの仕事をした一方で、リクルート事件で辞職に追い込まれました。その竹下政権の崩壊の過程は、金で政治が動いた時代が、国民に拒絶された政治不信の始まりとして象徴的な出来事であったように思い…

のんのんばあとオレ(水木しげる著)

水木しげるさんは、鳥取県境港市の出身で、ご存じ、ゲゲゲの鬼太郎など数々の妖怪マンガを手がけられた大漫画家です。先年、なくなられ、山陰は非常にショックをうけたものです。のんのんばあは、境港に住んでいた武良茂(むらしげる、水木しげるの本名)少…

島根の神楽〜芸能と祭儀(島根県古代歴史博物館編集)

島根県の神楽は、石見神楽が最近は、ショー化しているので、少しつらい部分もありますが、邑智郡の中心とした大元神楽などの昔の話を聞くと、「神がかり」という、神楽の最中に神さまが乗り移った人が出て、吉凶を定めたそうです。神楽は当然ながら神の楽し…

妙好人と石見人の生き方(神英雄著)

石見には、妙好人(みょうこうにん)という、浄土真宗で言うところの、信心深く、人に愛され、そして、一つの物事をこつこつやり、人のいやがることでも率先してやり、まるで、雨ニモマケズに出てくるような、懸命に生きる人のことを言っているように思いま…