2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

山陰駅旅(JR米子支社監修)

山陰地方の鉄道駅を1200点の写真で紹介する力作!駅を網羅しようとする本はいくつもありますが、これは比較的駅にスポットを当てた本になっていますね。昨年末に発売されて、今井書店でも大々的に特設コーナーが設けられていました!各駅の情報は、駅の…

未来を変えた島の学校(山内道雄、岩本悠、田中輝美共著)

入学者が減少し続けていた離島の高校、隠岐島前高校の復活の物語を描いたルポです。岩波書店から書籍化されて既に4刷りされている、ヒット作!人口減少社会における、高校教育界関係者の必読の書、と密かに言われているそうです。(岩波書店、2015年)

「よみがえる弥生」ドキュメント田和山遺跡訴訟(高野孝治

松江市乃白町に立っている松江市立病院の建物の前に、田和山遺跡はあります。この遺跡が発掘されつつあったときに、灘町の市立病院をこの場所に移転しようと松江市が決定しました。その後、この遺跡は三重の環濠集落で、弥生時代の出雲の様子をよく伝えた非…

環(めぐ)りの海(山陰中央新報社、琉球新報社著)

2013年度、日本新聞協会賞受賞作! 生活者の視点で領土問題を考える力作!山陰中央新報が竹島問題で、日本海や韓国をルポし、琉球新報が尖閣諸島&台湾、中国をルポした。領土問題を国家のレベルで語るのではなく、その地域に住む人たちの視点で考えたと…

島根民謡風土記(安部勝著)

山陰中央新報社が昭和50年代にシリーズとして発行した「ふるさと文庫」の11番目にあたる本です。著者は元国語教員で、隠岐に長らく赴任されたようでして、隠岐に関する著作があります。島根民謡風土記は、約60の島根の民謡について、歌詞などもふくめ…

各駅停車全国歴史散歩島根県(山陰中央新報社編)

これはけっして、鉄道ファンが読む本ではなく、鉄道を利用して歴史を楽しむための本です。それでも、こうして、鉄道の駅ごとに歴史がまとめられていると、なんだか訪ねてみたくなるので不思議です。歴史ファンをターゲットしたものなのか、鉄道ファンをター…

自主独立農民という仕事(森まゆみ著)

「鷗外の坂」で紹介した森まゆみさんの、島根ゆかりのお仕事がこちら、木次乳業の創始者・佐藤忠吉翁の反省を描いた評伝です!木次乳業を生み出し、育てた木次の風土と人の物語です。これからの地域の暮らしと経済が調和した社会になるといいなあと思うので…

山陽・山陰鉄学の旅(島津邦弘著)

かつて中国山地で盛んに行われたたたら製鉄。その全貌をまとめた、渾身の力作です。島津氏は、中国新聞の看板企画「中国山地」の続編の「新中国山地」の取材班の一人として中国山地を回るうち、たたら製鉄に関する取材を蓄積し、あらためて連載企画としてま…

鷗外の坂(森まゆみ著)

「まさかの坂」という言葉がありますが、この本「鷗外の坂」は、島根県津和野町出身の文豪・森鷗外が長らく暮らした東京にある坂を取り上げています。また取り上げるだけでなく、鷗外の半生を描きながら、島根から来たばかりのころに住んだ向島や、千住、上…

へるん先生の汽車旅行(芦原伸著)

小泉八雲は、ギリシャで生まれて、アメリカに渡って新聞記者となり、その後、来日し、松江、熊本、東京などに住みました。明治時代は、日本も鉄道の時代に入り始めたころ。八雲が来日した横浜から、最初の滞在地となる松江まで移動するのですが、当時は、関…

相撲の誕生(長谷川明著)

相撲が、いつ、どこで誕生したのかを、神話の時代から、アジア全域まで視点を広げて、ひもときながらたどった好著です。もちろん取り上げるのは、その神話の舞台が、出雲だからからです。詳しくは本を読んでいただくと分かります(当たり前です)が、国譲り…

古事記を旅する(三浦佑之著)

古事記は、出雲を語る上で、避けては通れない道ですが、これを通読するのは、なかなか大変です。先日紹介した「レッツ!古事記」などから入り、周辺の読み物を読んでいくと、興味がわいてきて、古事記に向かう気持ちが強くなってくるようだったら、古事記の…

能海寛チベットに消えた旅人(江本嘉伸著)

能海寛は明治元年、浜田市金城町波佐の浄土真宗大谷派のお寺・浄蓮寺に次男として生まれた人です。仏教のルーツを求めてチベットを旅して、行方が分からなくなりました。この本は、なぜ能海がチベットに向かわなければならなかったのか、なぜ消えたのかにつ…

五月女ケイ子のレッツ!!古事記(五月女ケイ子著)

島根に縁の深い古事記ですが、これを人気イラストレーターの五月女ケイ子さんが描くとこういうことになるのか、と驚くやら、笑ってしまうやらで、楽しく古事記が学べてしまいます。古事記は、原文で読んだり、解説書を読んだりしても、なかなか全体像をつか…

話術(徳川夢声著)

益田市生まれの弁士、徳川夢声(1894年4月13日 - 1971年8月1日)が、どうやったらうまく話せるかについて、記した話術の指南書というべき本です。この本、版を幾度も重ねるいわば隠れたベストセラーとなっているようです。話術の天才である徳川夢声は、書き…

神々の国の首都(小泉八雲著)

小泉八雲について、いまさら何かが語れるわけでもないのですが、わたしは八雲さんの著作のうち、この「神々の国の首都」が一番好きです。とくに、出雲を訪れた八雲が、途中の鳥取で不思議な盆踊りに出合って、たどり着いた松江の街で初めて迎えた朝の情景を…

出雲人(藤岡大拙著)

出雲を語るとき、この人をおいてはいけませんし、ありえません。藤岡大拙先生です。あんな出雲弁の語り口、聞いたことない!京大文学部卒の秀才のイメージとのギャップが素敵です!この出雲の神さまとも言える藤岡大拙様が、出雲人の気質をするどくえぐった…

山陰旅行 クラフト+食めぐり(江澤香織著)

旅行ガイドは数々あれど、山陰の面白い場所を、こんなに素敵に、しかもラインナップもよく、取り上げた本もほかにないのではないでしょうか?旅行ガイドというと、商業的だったり、広告的だったり、「素敵」と書かれた場所が実際に言ってみると、売らんが為…

BOOK在月book3(BOOK在月実行委員会発行)

BOOK在月(ぶっくありづき)は、2013年から松江市で始まった、一箱古本市やビブリオバトルを中心としたブックイベントです。その実行委員会のメンバーが中心になってこのイベントに合わせて制作しているのが、BOOK在月bookで、13年から1〜3…

神名火(佐藤洋二郎)

福岡県出身の作家・佐藤洋二郎さんは、子供のときから高校時代まで大田市で育ちました。この小説「神名火」は、「五十猛」「静間」「波根」「湯抱」という大田市にある地名がタイトルになっている連作短編集です。荒れた石見の海や、岩ばかりの地形という地…

ラフカディオ・ハーン(牧野洋子著)

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)はなぜ、一つ所にとどまらずに旅に生き続けたのか、小泉八雲の生涯を知りたい人にとっての入門書として手軽に読める本です。ハーンはイギリス系アイルランド人の父、ギリシア人の母の元に生まれました。二人は離婚し、母と…

生首に聞いてみろ(法月綸太郎著)

松江市出身のミステリー作家、法月綸太郎さんの代表的シリーズの法月綸太郎シリーズの代表的な作品です。ちょっとわかりにくいですが、法月綸太郎というペンネームを持つ作家書いた、法月綸太郎さんという名前の探偵が登場する推理小説のシリーズということ…

僕たちは島で、未来を見ることにした( 株式会社 巡の環 阿部裕志・信岡良亮著)

島根県海士町は、このままでは人口が減って島が成り立たない、と危機感を覚えた山内道雄町長や町職員らを中心にした町おこしの成功例としてかなり有名になっています。この町おこしの核になっているのは、若者たちのチャレンジを精いっぱい応援することだと…

石見観光事典(石見観光事典刊行会著)

惹句がいきなり、説明文ですね。全部の市町村を書かないと行けないのは、たぶん、市町村合併をした後で、市町村名を覚えてもらおうという、石見全体の観光協会あたりのしごとかと思います。「澄みわたる空 青い海 緑の山 大田 美郷 川本 邑南 江津 浜田 益田…

山中鹿之介(松本清張著)

小学館の「P+D BOOKS」というレーベルがあります。Dは電子書籍で、Pは紙の本ということだそうです。この本は、その「P」の方です。 この松本清張作の山中鹿之介は、1957年の小学館が発行した「中学生の友3年」〜「高校進学」に一年間連載された小…

新山陰小説風土記(小糠しのぶ、西尾肇、岡部康幸著)

山陰両県の街が舞台になっている戦後の小説を150回にわたって、山陰中央新報に連載した記事をまとめたそうです。内訳は、山陰全体を舞台にした「山陰両県編」が11作、「出雲編」が53作、「石見編」が33作、「隠岐編」が14作、「因幡編」が24作…

山陰鉄道物語(山崎弘著)

著者は長年、国鉄に勤めた方です。お仕事が一段落したところで、山陰の鉄道の成り立ちについて、文献などを調べて、一冊の本にされました。山陰の鉄道が、どのようにしてできて、あるいは、できなかったのかについて、鉄道の歴史を知らない人でも分かりやす…

現代思想2013年12月臨時増刊号 特集「出雲」

2013年は出雲大社の遷宮の年で、出雲の神話や文化が再評価された年でした。さまざまなガイド本なども数多く出ましたが、現代思想の特集は本当にふかくて、現代の歴史研究者や思想家、ライターたちが、多岐にわたるテーマについての文章を寄せていて、読…

恋の蛍(松本侑子著)

表紙の美人は太宰治と入水自殺した、山崎富栄です。愛と性について、深い洞察と表現をもって知られる松本侑子さんの新たな代表作と言えましょう。出雲市出身の松本さんが、第29回新田次郎文学賞受賞された作品です。 松本侑子さんといえば、1987年に「…