わが人生一直線(吉岡隆徳著)
100メートルの世界タイ記録を記録したり、戦前のロサンゼルスオリンピックで入賞を果たすなど、暁の超特急を呼ばれた吉岡隆徳の自伝です。吉岡は出雲市湖陵町の生まれで、その後斐川の吉岡家に養子になりました。
戦前の日本の短距離界が世界に互して戦っていたことを示す存在ですし、国を背負って戦わねばならなかった五輪選手の悲しい現実も垣間見えます。
足が速いというのは、子どもの頃から自慢になりますが、世界一になるほどの早さを手に入れた人の人生には苦悩がつきまとうのだなあと思うのでした。
(日本経済新聞社、復刻版、2002年)