神話と祭りと芸能の山陰路(石塚尊俊著)


一昨年に95歳でなくなられた、石塚尊俊さんは、山陰民俗学会名誉会長を務められるなど、山陰の民俗学研究の第一人者として活躍されていました。

この本は石塚さんが、いろいろな叢書類に書いていた原稿をまとめて、再編集したもの。山陰を東から西に旅をしながら、神話、祭り、芸能を石塚さんの視点で取り上げていく趣向になっています。毎日新聞に寄稿した「日本の銑」の中の一文「中国山地のタタラ」、講談社の「日本の地理14」に寄稿した「出雲神話」など、いずれも、全国の民俗学や地方の歴史などをまとめた叢書類に、島根県代表として執筆したものの集大成になっています。

石塚さんの膨大な著作のなかから、一通り、山陰を概観するのによいまとめになっていると思います。

(ワンライン、2001年)