出雲人(藤岡大拙著)


出雲を語るとき、この人をおいてはいけませんし、ありえません。藤岡大拙先生です。あんな出雲弁の語り口、聞いたことない!京大文学部卒の秀才のイメージとのギャップが素敵です!

この出雲の神さまとも言える藤岡大拙様が、出雲人の気質をするどくえぐったのがこの本「出雲人」です。1991年の発刊後、2004年に改訂版が出版されるなど、出雲人の文化的、考古学的、社会的背景を考察しながら、なぜ、出雲人は内向的なのかという考察を続けていくのです。

結論的に言えば、大和朝廷への屈服などをイメージしつつ、出雲人は「繊細な感性」と「受容の美学」を持つ民族だというのです。出雲地域だけがなぜ、あんなに、なまっているのか?など、考古学的にはまだまだ未知数の出雲で、人々の暮らしのなかからみつめていく藤岡大拙様の手法がこの名著を生んだともいえると思います。

出雲に来たら、「お茶でも飲んでいきなさい」と言われても、絶対飲んではいけないと言います。なぜいけないのか、悩んだら、この1冊!

(ハーベスト出版)