へるん先生の汽車旅行(芦原伸著)


小泉八雲は、ギリシャで生まれて、アメリカに渡って新聞記者となり、その後、来日し、松江、熊本、東京などに住みました。明治時代は、日本も鉄道の時代に入り始めたころ。八雲が来日した横浜から、最初の滞在地となる松江まで移動するのですが、当時は、関西までしか鉄道が通じておらず、あとは岡山から鳥取へと山越えします。米国に滞在中も鉄道をよく使いますし、来日するときには、横断鉄道を使ったようです。

小泉八雲は旅に暮らした人生とも言えると思いますし、八雲を旅人としてとらえる視点はこれまでもあったと思いますが、荷物を担いで、汽車旅をしてきた「元祖バックパッカー」ととらえ直して、鉄道と八雲の生き方を重ねたところに面白さがあります。

この本を読んでいると、旅をしながら、いろいろなところを見てみたいという気持ちがふつふつと沸いてきます。

集英社インターナショナル、2014年)