島根百年(毎日新聞社著)


この本の巻末の広告のページをみると、「大阪百年」「滋賀百年」「奈良百年」という本も販売され、続刊「広島百年」と書いてあるので、これは毎日新聞社が全国の地方版で、大規模に同時並行的に連載を行った企画なのではないかと推察します。

島根百年は昭和42年〜43年にかけて二年間にわたって、計100回連載された企画であり、明治のはじめに松江藩に政府の鎮撫使として西園寺公望がやってきたという初回の記事から始まります。記事は会話がかなり盛り込まれていて、明治時代の「生き証人」がまだまだこの時代には生きていたことが分かります。そういえば、湖鹿堂のじいさんも明治生まれだった。もっともっといろんなことを聞いておけば良かった、というような話が、たくさん盛り込まれている。

明治時代は日本が西欧列強に追いつこうと頑張った時代だが、その延長線上に太平洋戦争がある。この100年を古里の歩みをたどることに意義を見いだし、100回の連載を全国で続けた毎日新聞もやるね。

毎日新聞社、1968年)