領土という病(岩下明裕編著)


「国境学」という学問を作り上げてきた北海道大学教授の著者が、領土問題をさまざまな角度で、対談やシンポジウムをまとめた本です。領土問題というと、「日本のものだ」というところで、思考停止してしまうことがありますが、両方の地域からみたり、国と国ではなく、国境を接する地域の住民同士の付き合いとか貿易など、さまざまなアプローチがあるはずです。

竹島問題も、日本の領土だ、ということを主張するほどに、韓国が硬化し、両国が漁ができるはずの暫定水域で漁業もできなくなるし、両国の関係もおかしくなる。領土という病の根深さと、多様な視点とアプローチの必要性を考えさせてくれます。

(2014年、北海道大学出版会)