高津川と錦川(澄川喜一著)


東京スカイツリーのデザイン監修者の澄川喜一さんは、島根県六日市町(現吉賀町)の出身。その澄川さんが、半生を振り返りながら、山陰中央新報に連載した「羅針盤」の記事をまとめた本として出版されました。

県境を越えた岩国工業高校に学ぶときに、島根県山口県の県境の傍示ヶ峠が、島根側に流れる高津川と、山口側に流れる錦川の分水嶺になっていて、戦時中にこの峠道を何度も歩いたという記憶などが語られます。五重塔からイメージされたというスカイツリーや、県立美術館などにある澄川氏のモニュメントは、いずれも天を目指しているように思います。六日市の空は、山が両側から迫っていて、狭かったろうと思います。そこから、空へ伸びていく、そんなイメージなのかもしれないなどと、勝手に想像してみました。
(形文社、1999年)