上納紙制度と紙漉哀話(岩谷健三ら著)


石見は、鉄と紙でできている、あと、銀。

津和野藩は山ばかりですから、山の中でとれる物を造るしか有りません。紙の生産を奨励し、藩の財政を支えました。以前、浜田市金城町の波佐を訪ねたとき、ここではほぼすべての農家が紙漉をしていたそうです。農繁期には農業に精を出し、冬場に紙を生産します。冷たい水にさらして、紙をすく農家の人々の姿が目に浮かぶようです。

そういう中で起きた悲劇として、庶民のために犠牲になった義民仁左衛門の物語が語り継がれているそうで、その物語も哀話として収録されています。

津和野ものがたりシリーズの第七巻です。

(津和野歴史シリーズ刊行会、1976年)