記憶の絵(森茉莉著)


 鷗外の長女で、小説家の森茉莉のエッセイです。この親子ほど、才能にあふれた親子もいないのではないでしょうか?

 そんな親子ですが、森鷗外が、葬式まんじゅうをご飯に載せて、煎茶をかけてまんじゅう茶漬けにしていたなんていうエピソードが書かれていて、楽しい森家の様子はほほえましいほどです。そんな日常の森家の様子が、茉莉さんの小気味よい切れ味のある文章で書かれている、うれしい随筆ですね。

(筑摩文庫、1992年)