松江八百八町町内物語 末次の巻(荒木英伸著)


土産物の会社「山海」の経営者だった荒木英伸さんは、「松江食べ物語」(山陰中央新報社)の作者でもあります。この方、松江の町についてここまで知っているのかと驚かせられます。

末次というのは、古い地名で、江戸時代の始めに松江城が築城される前から、白潟と末次というのは、宍道湖の南北の要衝地にあることから、古くから人が住み着いたところですね。それだけに、歴史が古く、へえ〜、というお話がいっぱい掲載されています。350ページを超す分量もさることながら、一つ一つが濃い話です。天倫寺温泉の始まりは、冷泉の発見と温泉を引き込んだ住宅の建設が始まり、とか、県庁焼き討ち事件、とか。松江の峡北の歴史を網羅した本ですね。

島根郷土資料刊行会は、事務局が島根県立図書館の中にありました。こういう歴史を記録しておくことも図書館の役割として重要ですね。
(島根郷土資料刊行会、1973年)