松江市

源五郎のいずも風土記(橋谷博著)

島根大理学部(当時)教授だった著者が、宍道湖・中海の研究などを通じて感じたことをつづった、毎日新聞の連載をまとめたものです。源五郎というのは、いつも宍道湖・中海を潜水していることから、つけられたあだ名です。それほど、いつもウエットスーツに…

八雲の伯耆・因幡の旅(横山幸子著)

1990年頃に、八雲の来日100周年を記念した事業で、「小泉八雲市民文化賞」という、八雲に関する市民からの論考などを募集しました。その作品を集めて、「松江市民文庫」として発刊したようです。ですから、著者はアマチュアの方です。ただ、これが、…

一戔五厘の旗(花森安治著)

旧制松江中学で学生時代を送り、東京帝大を出て、大政翼賛会で働いた花森安治。戦争への強い反省から、暮らしの中から反戦を訴える気持ちで、「暮しの手帖」の創刊に加わります。その、花森の苦悩と反省と、反戦への強い覚悟が現れた、私のバイブルとも言う…

松江八百八町町内物語 末次の巻(荒木英伸著)

土産物の会社「山海」の経営者だった荒木英伸さんは、「松江食べ物語」(山陰中央新報社)の作者でもあります。この方、松江の町についてここまで知っているのかと驚かせられます。末次というのは、古い地名で、江戸時代の始めに松江城が築城される前から、…

戦国はるかなれど(上下巻、中村彰彦著)

堀尾吉晴は、初代の松江城主ですね。徳川に使えて、しんがりをいつも務めたり、敵との和睦の席にかり出されたり。本当の仕事師ということを描いた力作です!広瀬の月山富田城から松江市まで城の部材を運びました。国宝の松江城もこの人のおかげです。(光文…

小泉八雲の妻(長谷川洋二著)

小泉セツは、元松江藩の士族の娘。ただ、明治時代は士族は落ちぶれ、仕事もなかなかうまくいかず、没落する家が続出した。小泉家も厳しい経済事情だったようで、この本によると、「ガイジン」である八雲の世話をやく女中のような存在としてハーンのそばでは…

松江城と城下町(宍道正年著)

2015年に念願の国宝に指定された松江城です。その松江城の歴史や構造の面白さなどについて、子供でも分かるように書かれた本ですが、これが大人にもしっかりと面白く仕上がっている本です。マァちゃんとお父さんの会話で、お父さんが説明役。心温まる展…

「よみがえる弥生」ドキュメント田和山遺跡訴訟(高野孝治

松江市乃白町に立っている松江市立病院の建物の前に、田和山遺跡はあります。この遺跡が発掘されつつあったときに、灘町の市立病院をこの場所に移転しようと松江市が決定しました。その後、この遺跡は三重の環濠集落で、弥生時代の出雲の様子をよく伝えた非…

ラフカディオ・ハーン(牧野洋子著)

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)はなぜ、一つ所にとどまらずに旅に生き続けたのか、小泉八雲の生涯を知りたい人にとっての入門書として手軽に読める本です。ハーンはイギリス系アイルランド人の父、ギリシア人の母の元に生まれました。二人は離婚し、母と…

文学アルバム 小泉八雲(小泉時、小泉凡共編)

共編者となっているのは、小泉時さんは、小泉八雲の長男の一雄氏の長男なので小泉八雲の直系の孫、凡さんは時さんの長男ですから小泉八雲の直系の曾孫ですね。小泉八雲がギリシャで生まれ、アイルランドで育ち、米国に渡り、記者として活躍したことや、その…

松江 堀川めぐり(中国新聞著)

晴れて国宝になった松江城は、観光客も増えて、よかった良かった。 この本は、1997年から運行を開始した堀川遊覧船について、堀川の歴史やその魅力、堀川にかかる亀田橋やヘルンの小径、内中原町にあった志賀直哉の堀端の家など、連載をまとめた本です。…

民藝の教科書1うつわ(久野恵一監修、荻原健太郎著)

島根県は民藝の聖地なのではないでしょうか。ちょっと大げさかもしれませんが、この「民藝の教科書 うつわ」を読んでいると、そんな気分にさせられます。 民芸運動は、柳宗悦、浜田庄司、河井寛次郎を中心に展開しました。生活に根ざした器の中にこそ美しさ…

胸の小箱(浜田真理子著)

松江を拠点にしながら、全国に活動の輪を広げている歌手の浜田真理子さんが、歌うたいとして生きていくことを決めた半生をつづったエッセイです。子供時に、スナックを経営する親と妹たちとの間に挟まれて、寂しいと言えずに我慢し続けた日々、歌唄いとして…

出雲和紙〜人と風土(文・漢東種一郎、写真・井上喜弘)

著者の漢東種一郎さんは、松江市収入役を務めた後、随筆など各種の著作を残された知識人です。この漢東種一郎さんの本は、歴史的な深みと共に、自然や風物さらに、人々の生活に根ざした空気感を伝える文章が素敵で、今でも松江の人たちに愛されている人です。…

読書画録(安野光雅著)

島根県津和野町の画家、安野光雅さんが、日本の名作を取り上げ、その舞台となった場所を描いた水彩画と、その小説についてのエッセイをまとめた本です。36人は、森鷗外、夏目漱石、幸田文、樋口一葉、山本周五郎、川端康成、北原白秋ら、明治から昭和にか…

ゆるゆると。〜まつえで暮らす〜(すやまひろこ著)

松江城のそばの北堀町の古民家で、手作り雑貨の店「ちろり」を開いておられる、すやまひろこさんが、松江の素敵な場所や過ごし方について、リポートしてまとめた本です。そんじょそこらのガイド本と違って、松江のしっとりした風情のある場所や、手作りでこ…

花森安治伝(津野海太郎著)

「暮しの手帖」の昭代編集長、花森安治と島根ってどうつながるかっていうと、神戸市出身の花森が、その後、旧制松江中学で3年間松江で過ごしたことですね〜。なので、花森安治さんも「島根関連」という位置づけであつかわせていただきます。 神戸市出身の花…