竜の落とし子(橋本明治著)


浜田市に生まれた画家、橋本明治の自叙伝です。橋本明治と言えば、豊満な女性と、太くて力強い線が印象的で、色遣いも鮮やかな印象があります。力強い力士の絵の一方で、繊細なタッチで描いた着物の女性やサクラなどの作品もあって、何か別人の絵のように思うこともあります。力士の絵とかは、本当に力強くて、結構お気に入りです。

石見という所は、なかなか食うのに大変なところですから、郷里から出て、挑戦しようという人たちが多いように思います。橋本明治もその一人ではないでしょうか?

若いときに両親や、育ててくれた祖父母を失った橋本明治。その絵には、女性に託した「母性」を感じるのは、まあ、素人の考えなのでしょうね。

日本経済新聞社、1979年)