島根県出身者

逆臣青木幹雄(松田賢弥著)

竹下登の秘書を務め、二人三脚であゆんできた青木幹雄氏は、6年前の参院選の前に病に倒れて、息子の一彦氏に譲りました。逆臣というタイトルは刺激的ですが、要するに、竹下さんの事務所を引き継いで、竹下のように振る舞ったという印象になっているところ…

14歳からの仕事術

松江市出身で、東大教授(労働経済学)として、数々の研究や著述活動を通じて、労働問題研究の最先端を走るこの人も、島根が生んだ頭脳ですね。ニートという言葉を日本で最初に使い始めた人で、働けない若者たちの現状をあぶりだし、社会に大きなインパクト…

永井隆の生涯(片岡弥吉著)

キリシタン史などを研究する著者が、島根県雲南市三刀屋町生まれの永井博士の生涯を丹念に描いた労作です。被ばくして病床にありながら、自分の体の変化などを含めて、原爆の悲惨さや平和の尊さを訴え続けた博士の偉業を、島根県民はみんなで受け継いでいか…

私の青春文学紀行(松本侑子著)

出雲市出身の作家・翻訳家の松本侑子さんによる文学紀行です。赤毛のアンの漢訳で話題を集めた松本さんが、赤毛のアンの舞台となるカナダのプリンスエドワード島、風と共に去りぬのアトランタ、ハイジのスイスなど、小説の舞台となった場所を訪ねたエッセイ…

日本農業の正しい絶望法(神戸善久著)

著者は名前から予想されるとおり、島根県出身の方で、松江市生まれです。京大卒、現在は、明治学院大学教授です。農業について、従来の考えとは違う、「正しい」分析をなさっている方で、農業論として、すごくまともだと思います。TPPなど、農業を取り巻…

イタリアの図書館(宍道勉著)

著者は松江市在住の図書館人で、雑賀町にある私設図書館・曽田文庫応援団の理事長さんです。イタリアに何度も足を運び、イタリアにある公共図書館の様子を伝えています。日本の図書館は、なんでかしらないけど、敷居が高くて「行政の施設」という感じが抜け…

人形の旅立ち(長谷川摂子著、画・金井田英津子)

平田出身の童話作家の長谷川摂子さんが描く、古里の平田を舞台にした5編のファンタジーです。坪田譲治文学賞を受賞しました。著者の実家は、一畑鉄道を経営する大谷家 で、その家での生活がベースになった、幼い日の体験がもとになっているのでしょうか。素…

森鷗外 文化の翻訳者(長島要一著)

津和野町出身で、日本の文豪として、燦然と輝く功績を残した森鷗外。優れた文学差品を残した「作家」としての顔に加えて、森鷗外は「翻訳者」としても膨大な仕事をしています。この本で著者は、鷗外が単なる翻訳者ではなく、西欧と日本の両方の文化を理解し…

めっきらもっきらどおんどん(長谷川摂子作、ふりやなな画)

1944年、平田生まれの童話作家です。「1999年、『きつねにょうぼう』(再話)で第4回日本絵本賞大賞、2004年、『人形の旅立ち』で第19回坪田譲治文学賞、第14回椋鳩十児童文学賞、第34回赤い鳥文学賞を受賞した」と、ウィキペディアにありました。「めっ…

永井輶全集第1巻

オバマ大統領が現職の大統領として初めて広島を訪問すると発表しました。そこで、永井輶全集を手に取ってみました。探していたのは永井輶博士の言葉。「戦争に勝ちも負けもない。あるのは滅びだけだ!」。「花咲く丘」という文章の中につづられている、叫び…

竜の落とし子(橋本明治著)

浜田市に生まれた画家、橋本明治の自叙伝です。橋本明治と言えば、豊満な女性と、太くて力強い線が印象的で、色遣いも鮮やかな印象があります。力強い力士の絵の一方で、繊細なタッチで描いた着物の女性やサクラなどの作品もあって、何か別人の絵のように思…

歌の絵本、歌の絵本2(安野光雅著)

歌の絵本は日本の唱歌、歌の絵本?は世界の唱歌の歌詞とともに、一枚の安野さんの絵が描かれています。特に?は、安野さんの得意なヨーロッパの田園風景が描かれ、「ロンドン橋落ちた」とかはロンドン、野なかのばらはドイツかなあ、ちょうちょうはスペインか…

津和野(安野光雅著)

津和野生まれの画家、安野光雅さんが描いた古里の津和野を描いた作品集です。安野さんの絵は、いつ見ても、ほんわかしているのですが、津和野の絵は、少しモノトーンに思えます。明るいばかりの石見ではないです、ということを表現しているのかな。文章も相…

話術(徳川夢声著)

益田市生まれの弁士、徳川夢声(1894年4月13日 - 1971年8月1日)が、どうやったらうまく話せるかについて、記した話術の指南書というべき本です。この本、版を幾度も重ねるいわば隠れたベストセラーとなっているようです。話術の天才である徳川夢声は、書き…

生首に聞いてみろ(法月綸太郎著)

松江市出身のミステリー作家、法月綸太郎さんの代表的シリーズの法月綸太郎シリーズの代表的な作品です。ちょっとわかりにくいですが、法月綸太郎というペンネームを持つ作家書いた、法月綸太郎さんという名前の探偵が登場する推理小説のシリーズということ…

恋の蛍(松本侑子著)

表紙の美人は太宰治と入水自殺した、山崎富栄です。愛と性について、深い洞察と表現をもって知られる松本侑子さんの新たな代表作と言えましょう。出雲市出身の松本さんが、第29回新田次郎文学賞受賞された作品です。 松本侑子さんといえば、1987年に「…

出雲・石見(田畑修一郎著)

著者は益田市出身の作家で、戦前、芥川賞候補にもなりました。若くして亡くなったのが残念ですが、郷土の作家として、もう少し名が売れても良いかなと思います。 出雲・石見は、安来から郷里の益田まで海岸線にそって、じっくりと1ヶ月かけて旅したエッセイ…

ほんほん本の旅あるき(南陀楼綾繁著)

著者の南陀楼綾繁さんは、出雲市の出身です。フリーの編集者・ライターとして活躍する一方で、全国に広がっている「一箱古本市」の考案者でもあります。すごい人なんです。 一箱古本市は、本のフリーマーケットを想像してください。でも、本を売る広さという…

読書画録(安野光雅著)

島根県津和野町の画家、安野光雅さんが、日本の名作を取り上げ、その舞台となった場所を描いた水彩画と、その小説についてのエッセイをまとめた本です。36人は、森鷗外、夏目漱石、幸田文、樋口一葉、山本周五郎、川端康成、北原白秋ら、明治から昭和にか…

ことば・把手・旅(天野祐吉、安野光雅著)

安野光雅さんは、島根県津和野町出身の画家です。ソフトなタッチの優しい絵は、見る人の心をいやしてくれます。また順次、楽しい絵本を紹介したいと思いますが、ここで取り上げる本は、コラムニストで広告批評の主宰者として活躍された天野祐吉さんとの対談…