「出雲」からたどる古代日本(瀧音能之著)


出雲神話は、古事記日本書紀にものすごく多く登場します。それは、今の天皇を中心とする大和国が成立する前の出来事を神話化したのだろうと言われています。だから、出雲の国は、すごく重要な役割を果たしていたのだろうけれど、文字通り雲をつかむような話です。

古代出雲が本当はどういう姿だったのかを、過小評価するのか、クローズアップするのかによって、歴史の見え方が違ってきますね。瀧音さんのこの著作では出雲を重視するとどうみえるかという視点で書かれています。いずれにしても、青銅器や出雲大社の柱など、「あれは神話だから」と片付けられないすごい遺跡が出てきたのだけれど、まだだれもまともに語れていない。そんな未知の部分が、歴史ファンを引きつけるのでしょう。

青春出版社、2003年)