竹下政権の崩壊(朝日新聞政治部)


島根県が生んだ2人目の総理大臣、竹下登。消費税の導入などの仕事をした一方で、リクルート事件で辞職に追い込まれました。その竹下政権の崩壊の過程は、金で政治が動いた時代が、国民に拒絶された政治不信の始まりとして象徴的な出来事であったように思います。

竹下さんは、掛合町に生まれて、青年団活動から県議になり、衆院議員になって、最後は首相に上り詰めます。この過程は、戦後の日本の復興から高度成長の軌跡と重なります。そこで、経済成長の果実が、政治にも流れ込み、金と力が融合していきます。政治で金が動く。いまの低投票率は、こうして、政治に対して芽生えた不信感がいまだに続いているように思います。

その政権崩壊の過程が、赤裸々に、綿密な取材で書かれていて、新聞社の仕事だなあと、感心しました。

朝日新聞社、1989年)