島根のさくら(吉野蕃人著)


島根大は昔は農学校だったので、農学部はずっと、島根大学の花形だったのかなあと思います。本状に立派な農業を持っていて、そこにはたくさんの種類のサクラが咲いていて、毎年春になると解放されています。

吉野さんという教授が、退官されるのを機に、農場をはじめ県内のサクラの種類を紹介するだけでなく、県内の有名なサクラの古木を網羅した図鑑のようにまとめられました。サクラは本居宣長が「敷島の大和心を人問わば 朝日に匂う山桜花」と読んだように、日本人がもつ感性と響き合うものがあるのでしょうね。なんだか戦時中には潔さみたいな価値観と混同されたので、桜と言うと、なんかいやーな感じがするんですが、ソメイヨシノは明治時代に苗を育てやすい植木屋によって広まったそうで、それ以前は山桜が主体だったそうです。ソメイヨシノを植えて花見というのは、明治以降の日本の作った風習で、それ以前はもう少し可憐な山桜の下で風流を楽しんだ、これが大和心なのでしょうね。

(吉野蕃人教授定年退官記念事業会発行、1988年)