浜田の石ぶみ(山崎克彦著)


 浜田市内に立っている石碑116基を訪ねて、写真と碑文を記録した冊子です。解説などはない、何の変哲もないような冊子ですが、こういう記録をしたいという衝動は押さえがたい人間の衝動かもしれませんね。そこに記録しておきべきことがあれば、何らかの形で残しておきたい。自分の名声という部分もあるのだけれど、子孫のために木を植えるようなもので、記録も調べて残しておけば、いつか、必ず役に立つものです。

それにしても、石に文字を刻むというのは記録の方法としては極めて優れていますね。本は時代の変化に応じて焚書などで姿を消すことがありますが、石は不動のもの。石見全域の石の建造物について、アーカイブしたい衝動に駆られます。

(いわみ文化振興会、1989年)