日本のシジミ漁業 その現状と問題点(中村幹雄編著)


シジミと言えば、宍道湖ですが、海水と淡水が入り交じるシジミの生息環境そのものが、環境の絶妙なバランスを象徴していると思います。著者は、県内水面試験場の場長さんで、宍道湖の現場をずっと見てこられた方で、全国の汽水域の研究者の研究を網羅する形で、編まれています。シジミの生態、漁業の実態、環境整備の難しさを照会しながら、どのように漁業と環境保護を成立させるかという視点で貫かれているように思います。

宍道湖が淡水化されようとしていたことがあったなど、今の人たちは知らないかもしれませんが、再び環境を破壊する過ちを犯すことがないように、シジミのありがたさと、環境のバランスの難しさをこの本で学んでいかなければならないと思います!

(たたら書房、2000年)