石見の民謡(西岡光夫、酒井董美著)


石見の民謡とは、山がちで厳しい生活を強いられる地域の労働歌だ。田植え、木挽き、炭焼き、たたらなど、仕事のときに、口ずさみ、つらい労働を乗り切ろうという庶民の知恵だ。ときにもの悲しく、一方で、笑い飛ばそうという痛快さも併せ持つ。麦つき、臼ひき、木挽きなど単調な労働の癒やしにもなるだろう。

木挽き歌の一番は「木挽きの女房になるな妹」という歌い出し。これを歌いながら働く場面の空気感はどうだろうと創造してみる。皮肉、ユーモア、悲哀、つらさ、達成感、絶望……。さまざまな石見の抱える暮らしが右記阿画手見えるようだ。石見の本質を知る一助になるでしょう。

今井書店と島根大がコラボした、山陰文化シリーズ19。

今井書店、1966年)