さいか再見(清水利美著)


松江市雑賀町は、足軽鉄砲衆が住んだ街で、決して裕福だったわけではないのでしょうが、みんな勤勉で、勉強熱心な街として知られています。戦前の首相・若槻礼次郎や、近代スポーツの海の親とも言える岸清一、法律学者の梅謙次郎らを輩出しています。

そういう街はいったいどうやってできたのか。この本では、雑賀町に残る遺構を丁寧に広いながら、街の形成の歴史や、特に井戸のことについて水の確保に苦しんだと思われる雑賀の人たちの苦労などが分かります。地元の歴史は、こうやって、一人一人の小さな努力がまとまった1冊の本によって構成に伝えていくことでできていくんですね。

(2016年、自費出版