ことば・把手・旅(天野祐吉、安野光雅著)


安野光雅さんは、島根県津和野町出身の画家です。ソフトなタッチの優しい絵は、見る人の心をいやしてくれます。また順次、楽しい絵本を紹介したいと思いますが、ここで取り上げる本は、コラムニストで広告批評の主宰者として活躍された天野祐吉さんとの対談集です。これは、雑誌「暮しの手帖」で連載された、「ことば」「把手(とって)」「旅」をテーマにした対談に加えて、本にするときに行った対談やコラムを加えた本です。

安野さんは、絵のほかに、本の装丁や編者、多数の随筆やコラムを書かれていることからも、本当に多才な方で、知識も抱負で、しかも、発想が非常に柔らかい。数学的な頭も持っておられるようで、デザインについての考え方は非常におもしろいです。やはり活躍される人というのは、人と違う、ユニークな視点を持っているなあと思います。しかも、天野祐吉さんも稀代のコラムニスト、批評的な視点がさすがで、安野さんとの掛け合いは、哲学的でもあり、漫談的であり、軽妙洒脱なおもしろい対談集になっています!

暮しの手帖社は、戦前に旧制松江中学を卒業した花森安治さんが創刊した雑誌です。島根つながりがうれしいです。

暮しの手帖社刊)