花森安治伝(津野海太郎著)


 「暮しの手帖」の昭代編集長、花森安治と島根ってどうつながるかっていうと、神戸市出身の花森が、その後、旧制松江中学で3年間松江で過ごしたことですね〜。なので、花森安治さんも「島根関連」という位置づけであつかわせていただきます。

 神戸市出身の花森は、戦前、旧制松江中学(現在の島根大学)に在学し、その後、東京帝国大学に進学します。その後、大政翼賛会に入り、戦争中の宣伝活動に従事したと言われています。戦後、大橋鎮子さんとともに、暮しの手帖を創刊。「商品テストなどの消費者の視点に立った企画を展開し、暮らしのなかから生活を見つめ直し、自立した市民を育てることが戦争を繰り返さないことという立場を貫きました。大政翼賛会時代には「ほしがりません勝つまでは」の標語を考えたという説もありますが、花森は多くを語りません。むしろ、その反省にたち、二度と戦争に加担しない市民を作ることを暮しの手帖に賭けたという風に考えられるのではないでしょうか。

 「ボクは、たしかに戦争犯罪をおかした。……これからはぜったいにだまされない、だまされない人をふやしていく。その決意と使命感に免じて、過去の罪はせめて執行猶予にしてもらいたい、と思っている。」という花森の言葉が、この本に紹介されています。

 花森の奥さんは、松江市神町の人です。そのことも、かなり詳しく書いてあり、東京帝国大学の時代に何度も松江を訪れて、お父さんを説得しに来た様子も描かれています。がぜん親近感が増します。

 ことし4月から、暮しの手帖を創刊した大橋鎮子を主人公に、編集長の花森安治と奮闘していく様子をモチーフにしたNHK連続テレビ小説とと姉ちゃん」がスタートします。花森安治にもきっとスポットライトが当たると思いますので、これから積極的に紹介していきたいと思います!

(新潮社、2013年)