評伝

永井隆の生涯(片岡弥吉著)

キリシタン史などを研究する著者が、島根県雲南市三刀屋町生まれの永井博士の生涯を丹念に描いた労作です。被ばくして病床にありながら、自分の体の変化などを含めて、原爆の悲惨さや平和の尊さを訴え続けた博士の偉業を、島根県民はみんなで受け継いでいか…

芋代官(田中通著)

「芋代官」とは、大森天領で今も敬愛を集める、代官井戸平左衛門のこと。田んぼが少なく、山ばかりの石見地方では、江戸時代も飢饉が起きていました。江戸から派遣された代官の平左衛門が、飢饉から人々を救うために、芋を植え、育て、領民を救ったのですね…

山陰の武将(藤岡大拙、藤澤秀晴著)

山陰中央新報に連載された記事を載せた本です。紹介されているのは山陰にゆかりのある7人の武将です。どなたも個性的で、それぞれ、魅力的な人物です。南北朝時代に、後醍醐天皇が隠岐を脱出したあとで挙兵に応じた武将たち、「名和長年」、「塩冶高貞」、…

小泉八雲の妻(長谷川洋二著)

小泉セツは、元松江藩の士族の娘。ただ、明治時代は士族は落ちぶれ、仕事もなかなかうまくいかず、没落する家が続出した。小泉家も厳しい経済事情だったようで、この本によると、「ガイジン」である八雲の世話をやく女中のような存在としてハーンのそばでは…

文豪「島村抱月」(隅田正三著)

浜田市金城町に在住し、民俗学や郷土史の研究を続けている著者が、郷土の誇る島村抱月の生涯、とくに、生まれてから古里を後にするまでの前半生を詳しく調べ、記しています。本当に頭が下がる仕事ぶりです。島村抱月は、浜田市金城町小国でたたら製鉄を営む…

自主独立農民という仕事(森まゆみ著)

「鷗外の坂」で紹介した森まゆみさんの、島根ゆかりのお仕事がこちら、木次乳業の創始者・佐藤忠吉翁の反省を描いた評伝です!木次乳業を生み出し、育てた木次の風土と人の物語です。これからの地域の暮らしと経済が調和した社会になるといいなあと思うので…

能海寛チベットに消えた旅人(江本嘉伸著)

能海寛は明治元年、浜田市金城町波佐の浄土真宗大谷派のお寺・浄蓮寺に次男として生まれた人です。仏教のルーツを求めてチベットを旅して、行方が分からなくなりました。この本は、なぜ能海がチベットに向かわなければならなかったのか、なぜ消えたのかにつ…

ラフカディオ・ハーン(牧野洋子著)

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)はなぜ、一つ所にとどまらずに旅に生き続けたのか、小泉八雲の生涯を知りたい人にとっての入門書として手軽に読める本です。ハーンはイギリス系アイルランド人の父、ギリシア人の母の元に生まれました。二人は離婚し、母と…

森鷗外百話(苦木虎雄著)

津和野町に生まれた森鷗外の人生を、順に追った100話完結の文章で、山陰中央新報に連載されたものを、同社の「ふるさと文庫」シリーズとしてまとめて出版された本です。 森鷗外の研究をするひとはむちゃくちゃ多いですが、地元でもその魅力から、研究対象…

花森安治伝(津野海太郎著)

「暮しの手帖」の昭代編集長、花森安治と島根ってどうつながるかっていうと、神戸市出身の花森が、その後、旧制松江中学で3年間松江で過ごしたことですね〜。なので、花森安治さんも「島根関連」という位置づけであつかわせていただきます。 神戸市出身の花…