石神さんを訪ねて(山陰中央新報社)


 山陰中央新報で連載された企画を一冊の本にまとめたものです。出雲地方にある50カ所の「石神さん」を紹介しています。

 石神さんは、大きな岩が地域の人々の依り代として信仰されてきたものです。その信仰形態はさまざまで、スサノオノミコトオオクニヌシのような神話に登場する神さまたちが宿っていたり、石の重なりや隙間が産道に似ているということから「安産」の神さまとして信仰されたり。はたまた、神社の奥宮と位置づけられていて、そういう場所はそもそも、原初信仰というか、自然崇拝にちかい、神道の一番最初の信仰が始まった場所なんだろうなあと感じさせます。

 磐座(いわくら)とも呼ばれることもあります。中国山地は岩がたくさんあるということもあるかもしれませんが、出雲神話の舞台でもあることがこうした「石神さん」を数多く生み出すことにつながったのではないかと思います。島根の奥深さを感じさせる一冊です。

 (2015年、山陰中央新報社)