自主独立農民という仕事(森まゆみ著)


「鷗外の坂」で紹介した森まゆみさんの、島根ゆかりのお仕事がこちら、木次乳業の創始者・佐藤忠吉翁の反省を描いた評伝です!木次乳業を生み出し、育てた木次の風土と人の物語です。これからの地域の暮らしと経済が調和した社会になるといいなあと思うのですが、木次乳業は木次に存在し続けることで、その社会の範になっていると思うのです。

佐藤忠吉翁曰く「町づくりだの村おこし、地域の活性化と騒いどりますが、地域は活性化する必要はない。むしろ沈静化すべきだと思っとります」。そうです。そういうことなのです。今あるものを大切に育てながら、ずーっと安心できるモノを作り続けることが、まさに、今求められていることではないでしょうか。

奥出雲葡萄園のおいしいご飯やワイン、どぶろくやパン、野菜に牛乳、チーズ、ヨーグルト。佐藤忠吉翁の精神が作りだした数々の製品を、この本を片手に堪能すれば、木次乳業ファンになること間違いなし、です!

(バジリコ、2007年)