<出雲>という思想(原武史著)


スサノオオオクニヌシを祭神としてきた出雲。古代の物語として語られてきた出雲だが、実は明治時代にもう一度、すごい脚光を浴びた、というか、活躍した時期があるそうです。明治政府が、アマテラスを中心とした伊勢を重視したのに対して、千家尊福を中心に、出雲大社が巻き返し、国家神道の成立過程で、伊勢に対して壮大な挑戦をして、そして、破れ、抹殺された、という、思想の流れがあるそうなのです。

安倍首相が信奉してやまない伊勢神宮。戦前の思想の系譜を受け継ぐ方にとっては、出雲はお気に召さないのかもしれませんね〜。そして、この文脈で高円宮典子さんの千家家への嫁入りというのは、とてつもないことなのかもしれないと思ったのでした。

講談社学術文庫、2001年)