鉄のまほろば(山陰中央新報社)


山陰中央新報が2015年〜16年にかけて週1回連載した企画を本にまとめたものです。5月末に発売になりました。

島根県は鉄の王国でした。江戸末期から明治の初めには、中国山地が日本国内の鉄の9割を生産していたという記録もあります。広島の鉄の生産は、石見から原料を運んでいますから、かなりの部分を島根県で賄っていました。

しかも、出雲ばかりがクローズアップされますが、たたら製鉄のメッカは実は石見ではないかと思っています。田部家や絲原家、櫻井家だって、広島側から島根に入ってきた人たちですね。そして、広島の鉄は、石見から広がったようにも見えます。古代には、朝鮮から伝わった製鉄技術が、まず、石見で浸透し、広島、出雲、鳥取へと広がっていったようなイメージがあるのですが、これはまったくの想像です。

山陰中央新報社、2016年)