過疎町長奮戦記(大谷武嘉著)


著者は、昭和30年代に匹見町長を務めた名物町長です。匹見はなんと言っても「過疎」という言葉が生まれた町と言われています。林業などで人々がたくさん住んでいた匹見は、高度経済成長が始まった30年代に人口流出が始まり、人口が激減。「挙家離村」という言葉もあるくらいで、子どもたちが帰ってこないというどころか、一家全体で移住するという状況でした。

特に「38(さんぱち)豪雪」と言われる豪雪では、匹見で5メートルを超える積雪があり、この雪が人口流出の引き金を引いたと言われています。ただ構造的に水面下ではどんどん、過疎になる環境が進んでいたのでしょうが……。この人が、過疎法と呼ばれる、法律制定の立役者でもあります。苦悩と苦労のなかで、一念岩をも通す、という政治家のあるべき姿を浮かび上がらせてくれます。

今井書店、1970年)