文豪「島村抱月」(隅田正三著)


浜田市金城町に在住し、民俗学郷土史の研究を続けている著者が、郷土の誇る島村抱月の生涯、とくに、生まれてから古里を後にするまでの前半生を詳しく調べ、記しています。本当に頭が下がる仕事ぶりです。

島村抱月は、浜田市金城町小国でたたら製鉄を営む家に生まれました。ただ、明治中期になると洋鉄の普及でたたらは衰退していきます。著者は父・佐々山一平のたたらに関する取引の様子などから、抱月の子供時代の足跡をたどっていきます。

それにしても金城は、以前紹介した能海寛も輩出していますし、人材を多く輩出しています。このあたりはたしか、津和野藩領ですから、子供の時代からしっかり教養を身に着ける下地があったのかもしれません。
(波佐文化協会、2010年)