出雲和紙〜人と風土(文・漢東種一郎、写真・井上喜弘)


 著者の漢東種一郎さんは、松江市収入役を務めた後、随筆など各種の著作を残された知識人です。この漢東種一郎さんの本は、歴史的な深みと共に、自然や風物さらに、人々の生活に根ざした空気感を伝える文章が素敵で、今でも松江の人たちに愛されている人です。

 この本は、人間国宝の安部栄四郎が手がけた「出雲和紙」が生み出される風土をさぐるというコンセプトでかかれた随筆です。八雲や松江市南部の古志原や大庭にかけての歴史や風土、人々の暮らしを丹念にあるき、出雲和紙の生産現場を紹介しています。紙漉の原料となるミツマタが育つ環境、安部さんの仕事場の様子、住居の様子などが描かれます。安部さんの住居には、いたるところに棟方志功の作品がある様子も書かれています。写真も貴重で、昭和40〜50年代の八雲の紙漉の実態がよくわかります。

 民芸運動を始めた河井寛次郎柳宗悦らも、安部栄四郎の仕事ぶりをすごく評価しています。

 安部栄四郎さん自身もさまざまな著作を残していますので、また順次紹介していきます!
 
(木耳社、1973年)

追伸
湖鹿堂は1月、松江市西茶町の古本屋さん「冬營舎」さんで、ヒトツキ古本市に出店中!
http://books-toeisha.jugem.jp/
1月30、31日には、たくさんの古本を販売する「湖鹿堂2DAYS」を開きます!
旅本、島根本、本の本を中心に段ボール5箱くらい持って行きますので、お楽しみに!
湖鹿堂店主もだいたい店にいます!